なんか気付いたら5回も大洗について書いている。
早速
前回の続きだが、日本戦車道連盟模擬試験を終了し、大洗駅で一息ついていた俺は、
「これで帰るのも難だな……」
ふと、そう思った。
実際、この時点で選択肢は無数に存在していた。
たとえば、東にある大鳥居を見に行くというのはどうだ。その先には
大洗磯前神社もある。主祭神は大己貴命。江戸の時代、かの徳川光圀によって再興されたという歴史を持つ、ガチで由緒ある神社である。調べてみたら別表神社だったのでマジで格が違う。
あるいはフェリーターミナルなどの港湾施設を見物に行くのもいいだろう。遠目に見ただけで、間近で見てはいない。
さらには、商店街をもう一度ゆっくり見物するというのも手だ。
もうおわかりかと思うが、上でこう前振りをしているので、つまりどれも実施していない。
目標を定めたMildは、ふらりと駅のベンチから立ち上がり、売店で缶コーヒーを一本買うと……自分で書いていて思ったがコーヒーを飲み過ぎである。確か、このあとさらに2本は飲んでいる。
温かい缶コーヒーを片手に駅から出たMildは、そのまま右に向かって歩き、すぐ立ち止まり、写真を撮った。
大洗駅を外から見て、左側の端の方の写真である。
一見なんのことはない風景の写真だが、ガルパン視聴者としては抑えておいて悪くない場所だ。
ここは、最終話のあるシーンで登場する。
どういうことかというと、駅のベンチに座っていた俺は、模擬試験の最中に出会ったガルパンファンの1人が、こう言っていたのを思い出したのだ。
「終わったら、最終話のあのシーンのルートをトレースしようと思うんですよ」
このとき、俺はものすごく「なるほど!」と思った。

感心具合としてはこのレベルに達した。
なので俺もやってみようと思ったのである。
とか言いながら、

歩きながら撮った写真はこの2点だけである。
最終話ED時に通り過ぎるコインランドリーと、左折する交差点。これだけ。
我ながら瑣末だが、なぜこうなったかというと、このあとのシーンに該当する風景を発見できなかったのである。少なくとも先の記事に登場した、ENEOS大洗本店SSさんが描かれているのは確認できたが、その前後のシーンで、周囲の風景は現実のもとのと結構違っているように見えるのである。
首を捻りながら歩いていたMildは、あるお店の前を通過する。そのとき、そのお店のなかにいらした女性の方から、思いがけずお声がけをいただいた。

そのお店とは、
その3で一度立ち寄らせていただいた、和泉屋米穀店さんだった。ちょっと立ち寄っただけの自分のことを覚えていてくださったのである。
模擬試験が無事に終了したこと、まだ時間はあるので散策していることなどを告げると、女性の方から、お店のなかで休んでいってはどうか、とのお言葉をいただく。
Mildはふたつ返事で応じ、お店のなかへ。すると、男性の方が2人、事務机とテーブルチェアにそれぞれ腰掛けている。Mildは慌てた。事務机に座っておられる方はご主人だろう。だが、もう1人はどう見ても友人か知り合いの方のように見える。先客がいるのに邪魔していいのだろうかと、そう思ったのである。なにしろ、その男性の方はテーブルに何かを広げて作業をしている。
焦るMildだったが、皆さん異口同音に、とくに気にしなくていいと言う。
そう言われてはむげには出来ない。遠慮がちに空いているチェアに腰掛けたMildだったが……。
五分後、なんか自然に会話に混じっていた。
俺のなかの人気投票でエルヴィンが2位であることを告げたら、エルヴィンとほぼ同じ格好をした(もちろん下はスカートではない)気合入りまくりの男性の方がいらしたお話であるとか、そこからなぜかコスプレの話に広がって、

このような写真を見せていただいたりもした。
というか、この写真は、掲載許可はいただいているが、ぶっちゃけ写っている西住みほの中の人は、聞く限り、このお店を訪れた1ファンの方なのである。
実は掲載するものか結構悩んだのだが、そして今も悩んでいるが、このクオリティに敬意を表する意味でも掲載させていただこうと思う。
頭部はもちろん、脚部もすべてきぐるみらしいのだ。材質はどうなのかとか、設計はどうやったのかとか凄い気になる。又撮りなのでわかりづらいかもしれないが、かなり丁寧な作りである。
しかし、これ通気性はどうなのだろう。夏コミとか死ぬんじゃないだろうか。
……というような、およそお米屋さんで通常展開されるであろうものとは別次元のトークで談笑していたら、あっという間に時間が過ぎていく。子猫も可愛かった。
それと、ここでは書けないような面白いお話も伺えた。
しばし憩いのときを楽しんだMildは、ルートを再度探索する。
しかしながら、なかなかベストなポジションが見つからず、その後、なんとなくで三度アウトレットに向かってしまった。なぜそうしたか、と言われると、ほんとうになんとなくだったので説明しがたいのだが、結果的には妥当な選択だった。
不完全燃焼のまま、この日三個めとなるあんこうやきを食していたMildは、なんとなくこの日撮影していた写真と、まだ見ていなかったパンフレットなどをチェックしていた。そこで、あることに気付いたのである。
撮るつもりでいたキャラクターのパネルを、1つ撮り忘れている。
確かこのとき、1530時から1600時のあいだくらいだったろう。
慌ててマップを広げ、目的のキャラクターが配置されたお店をチェックする。アウトレットからは、大洗町役場を超えた少し先にある。
こうしちゃいらんねえ! とアウトレットを後にしたMildは、足早に歩き、

そのお店、お蕎麦・民宿「
あんばいや」さんに辿り着いた。
だが、一目で気付く。お店が営業していない。パネルものぼりも仕舞われている。
検索したら、夕方は1700時から営業とのこと。この時点で、1620時とかそれくらいだったと思う。
この展開は予想外である。30分という時間はかなり微妙だ。どうすれば……。
恐らく、戸をあけてお願いすれば写真を撮らせてもらうことはできるだろう。だが、俺はこの時点で猛烈にお腹が空いていたのである。できれば何か食事もとっておきたいし、なによりこのあたりはお蕎麦のお店が多いようだから、きっと美味しい蕎麦が食べられるに違いない。
しかし、そのためにはあと30分という時間をどうにかしなければならないのだ!
途方にくれかけたMildは、すぐにあるお店の存在を思い出した。

あんばいやさんから歩いて数分の位置に、喫茶店「ブロンズ」さんがあるのを、模擬試験中にみかけていたのだ。ここで休憩がてら温かいものを飲めばいいではないか。
そう思い、お店の軒先に立った途端、目に「ガルパンドリンク」「ガルパンランチ」と書かれたメニューが飛び込んでくる。またしても写真を撮り忘れた。
これのランチの方は戦車を模した形をしていた。カレーとスタミナ焼き定食の2種類があるのだが、いかに腹が空いているとはいえ飯を待つあいだに飯を食うのはどうだろう。でもかなり魅力的だ……。
などと考えながら戸を開いたら、お店にはお客さんがいない。店主の方が出迎えてくれる。女性の方だ。
とりあえず、ガルパンドリンクを注文。といっても、何種類かあるドリンクメニューのなかから1種類を選択するタイプだ。あんずソーダ、ももソーダ、ゆずソーダなどが魅力的だったが、コーヒーなどはホットにもできるというので、ホットコーヒーを注文。我ながら無難で面白味のかけらもないチョイスであるが、ご容赦いただきたい。
注文すると、おまけに缶バッジを一個くれるという。なるほど、だからガルパンドリンク。
ご店主は、コーヒーを淹れながら話を振ってくれる。特に興味深かったお話がある。
お店にはガルパンドリンクやランチのメニュー表があり、さらに、


これらのうちわや鉛筆。ほかにも「包帯を巻かれたテディベア」など、ガルパンに関連するグッズが数多いのだが、これらは100%ファンの方からの贈り物だというのだ。
鉛筆とか完全にプロの仕事である。売ってくれと思ったが口には出さなかった。
さらに、ランチメニューの料理そのものも、ファンの方の意見を参考に1から作ったそうなのだ。どこまでいくんだ、と思ったが、ランチメニューのカレーの福神漬の配置について「これは戦車が直撃を受けて吹き出ている炎のイメージなので車体後方に置いてください。って意見が……」とご店主から聞いたとき、脱帽した。リアルに。
そういうわけでスタミナ焼きの方を食べたのだが、すみません、写真ないです。美味しかったです。
スタミナ焼きだが、その名も「うさぎさんチームセット」といい、ちゃんと戦車型のご飯にピンクの色味が入っている。でんぶが混ぜてあるのだ。そんな凝った作りなのに味はしっかりしているのでより驚きだ。ちょっとピリ辛のスタミナ焼きとの愛称は抜群である。
なお、カレーの方は「生徒会チームセット」といい、サフランライスで金ピカ38(t)をイメージしている。どうしてそこまで気合を入れてしまうのか。ファンも、ご店主も。
圧倒されつつスタミナ焼きを平らげ、コーヒーをいただいていたら、地元の常連さんらしいお客さんたちが何人かやってくる。普通のおばちゃんとか仕事帰りのおっちゃんとかなのだが、この方々も気さくに話しかけていただけたのはありがたかった。
しばらくして、お店を出たMildは、やっちまった感を醸し出しつつも、「あんばいや」さんへ向かう。胃袋のサイズは人並みだと自認している。このあと何か食べて平気なのだろうか……。

こっちはちゃんと写真に撮らせていただいた。
あんばいやさんのきつねそばである。Mildはそばやうどんといえばきつねの男だ。
茨木というと、蕎麦が美味しい地域というイメージがあるので、密かに期待していたのだが、期待通りの美味しさだった。
つゆは関東風の醤油味だが、蕎麦の風味はしっかりしており、なにより油揚げが美味しい。きつねというとふっくらとした油揚げを甘辛く煮たものが主流だが、こちらのお店はそうではない。油揚げそのものの味が絶品である。油揚げを食べてこの感想を言ったことはないが、濃厚だ。元の豆腐も抜群に美味しいに違いない。
あっさり完食できてしまった。

食後、パネルを撮影させていただいた。サンダースのナオミだ。
このキャラクターが好きだと告げると、お店の方は意外そうな顔をされていた。「この子が好きだというお客さんは珍しい」のだそうだ。意外だ。
なお、こちらのお店でも……、

ファンの方から送られたというサンダースの校章マグネットシートと、街中かくれんぼの全キャラクターで彩られたポストカードなどを見せていただけた。ガルパンファン……一体何者なんだ……?
満腹になり、あんばいやさんをあとにする。1730時ごろのことだ。もう外は薄暗くなり始めている。雲のせいもあるだろう。
商店街を見物しながらゆっくり歩いていたMildは、昼間に秋山優花里を激写した「年宝菓子店」さんの前を通りかかる。秋山殿をチラ見しながら通りすぎようとしたとき、お店のなかに何か置かれているのを発見する。
思わず立ち止まり、お店に入る。奥から年配の女性が出てくる。
撮影の許可を願うと、快諾していただいた。
上の写真だが、砲塔と車体は別々の戦車のものである。それをニコイチしたオリジナル。砲塔は38(t)で、車体は確かルノーFTと仰っていたように思う。
下の戦車の方は、今現在UCCの缶コーヒーについてくる「最強の陸自コレクション」と、その昔展開されていた「ワールドタンクミュージアム」の車両たちだ。
この時点で、Mildは違和感を感じていたのだが……。
いつの間にか奥に引っ込んでいた年配の女性の方が、「今、作った人が来ますから」と仰られた。
Mildは身構えた。違和感がどんどんはっきりとした形になってくる。
ご主人が登場。上の画像のモデルについて訪ねると「これはモデルグラフィックスに~」
この人ガチモデラーや
そう確信に変わった瞬間である。ワールドタンクミュージアムを知っているということは、もう何年も前からミリタリーモデルを作っている人物に違いないと感じたわけだが、さらにモデルグラフィックスに投稿されているわけだから、ご主人は間違いなく本格派のミリタリーモデラーであろう。
それにしても、2枚目の左上に写っているティーガーとか作りこみが半端ない。ワールドタンクミュージアムは1/144という小サイズなのだが、車長用ハッチが稼働するように手が加わったりしているのだ。
もっというと、2枚目の画像中央に大洗女子の型が置いてあるのだが、これもご主人がご自身で作られたものなのだそうだ。レジン製らしい。この型を使って大洗マークのべっこう飴を製造・販売しているという。
その後も、Mildのような最近はガンプラ素組みしかしないにわかモデラーがこんな会話してていいのだろうか。というような各プラモメーカーの戦車キットについてのトークが続いた。熱いご主人であった。
帰宅後調べてみると、モデルグラフィックスにご主人の作例が何度も掲載されたような記述を発見し、恐縮することしきりである。
思いもよらぬ展開の連続だったが、胃袋も心も満たされたMildは、結局みつだんごのことを失念したまま大洗駅に到着。
このとき、1815時ごろだったと記憶している。
インフォメーションはもう閉まっていたので、こうやって駅の内外を撮影しながら列車を待った。2枚目の売店だが、画像左側の雑誌コーナー。その一番上のあたりに注目していただきたい。
その後、1833時発の列車で大洗をあとにする。今日の活動時間が半日を超えていることに気づき、苦笑しながら電車に揺られていた。
そして、電車が水戸の一歩手前、東水戸に停車したときのことである。
ホームの反対側に列車が入ってくる。何気なくそちらを向いて、目を剥いた。
ラッピング電車。
ここまでやっているとは。だが、このタイミングで遭遇するとはツいてるじゃないか。
そう思いながらシャッターを押す。直後、自分の乗り込んでいる列車が発車。
あっという間に列車が遠ざかる。大洗も。
旅に特有の寂しさを感じながら、水戸駅に到着。水戸は言うまでもなく都会で、人が多く、大型商店も多い。急激な変化に息苦しさすら覚える。
水戸駅北口、バスロータリーの9番乗り場に向かい、そこでバスを待つ。
帰りは水戸-東京間の高速バスを使うつもりだった。
時間的に、10分も待たずにバスが来るだろう。
水戸駅前の丸井などを眺める。この街から30分弱で大洗というのは、俺の地元から30分で横浜っていうのよりはインパクトがあるな……などというどうでもいいことを考えていると、バスが来る。あたりまえだが、ガラガラ。運転手さんに運賃を支払、席に着く。1910時ごろに水戸を出発。
次に気付いとき、バスはもう東京都に入っていた。眠ってしまっていた。
2100時ごろ。バスは首都高向島ICを降りる。程なく浅草に止まるというので、調度良いと思い、そこで降りた。
ここからなら、銀座線一本で渋谷に出られる。上野や東京から渋谷に向かうよりは気楽だろう……。
そう考えながら銀座線浅草駅の入り口に向かって歩いていたら、目の前に東京スカイツリーが現れる。
スカイツリーは、その半ばから雲に隠れて見えなくなってしまっていた。
5回に分けて記事にした大洗の旅だったが、なによりも驚かされたのは、大洗の人々と、ファンとのあいだにあった交流である。その繋がりから形作られたものを、訪れた俺や、他の誰かが触れて、どんどん広がっていくのだろうか。だとすると、どこまで広がっていくのだろうか。
そういえば、8月には、

こんなイベントが企画されているらしい。そのとき、また訪れてみるのもいいかもしれない。 大洗の旅は、素直にそう思えるような素晴らしいものとなった。
#
by mildstylek
| 2013-07-02 00:52
| 雑記
前回に引き続き大洗での旅の模様をお届けする。
レンタサイクルによる移動を断念し、大洗リゾートアウトレットへと戻ったMildは、大洗マリンタワーでひととき身を休めたあと、「日本戦車道連盟模擬試験」への挑戦を再会した。
前回訪れた柳屋食堂さんやお好み焼き「道」さんのある商店街ルートへと徒歩で移動。北東へと進む。

自動車部チームのナカジマのパネルがあるパン屋さん「
ブリアン」や、

歴女チームのおりょうのパネルがあるお菓子とパンのお店「
玉屋」さんの前を通過したりしつつ、

第14問の出題地点、鮮魚「
魚忠商店・ちゅう心」さんへ到着。ガルパンファン的には大洗で一、二を争う有名なスポットであると思われる。
第4話で、「魚剣」。つまりイギリスのフェアリー・ソードフィッシュにひっかけた店名で描かれていた。

魚忠さんでは非公式人気投票第2位、近藤妙子のパネルが展示されている。
ちなみに、女子バレー部は実在の女子バレー選手が名前の元ネタであり、先ほど出てきたナカジマなどの自動車部は著名な日本人カードライバーから名前をとっている。更に言うと1年生チームはなでしこジャパンが名前の元ネタであるらしい。
魚美味そう……とか思いながら魚忠さんをあとにすると、目の前に、やはり劇中で登場した、

旅館「
福本楼」さんが見える。この前を通過し……このあたりには五十鈴家のパネルが配置されている。

さらに発見。「中戦車だし~?」でお馴染み、佐々木あけび。こちらのパネルが配置されているお店は「タグチ玩具店」さん。おもちゃ屋さんである。俺の住んでいる地元にも、昔はこういうお店があったものだ。
ガルパン効果か、店内には戦車プラモが平然と平積みされていた。

お次はこちら。カフェ&バー「
ヴィンテージクラブ むらい」さん。第15問の出題地点だ。
実は当初立ち寄ろうと思っていたお店であるが、身体中びしょ濡れでアルコールはちょっと……と思ってしまい、ちょっと悩んだ末に断念した。今思うと非常に惜しいことをした。

こちらにはオレンジペコのパネルが配置。れっきとしたキャラクター名である。もっと言うと彼女は日本人であるはずなので、恐らくロサ・ギガンティアみたいなそういうノリのニックネームに違いない。

むらいさんに寄るべきだったか……などと考えながら歩いていると、五十鈴殿を発見。
「
味の店 たかはし」さん。こちらはガルパン以前より「みつだんご」という名物が有名なお店で、Mildも是非いただこうと思っていたのである。
ところが。
このときのMildの脳内はむらいさんへの思いで溢れていた。
一杯やるか……いやしかしもう通り過ぎている。今更引き返すのは……。あ、五十鈴殿。
というような具合で一枚写真を撮っただけで通過するという、あるまじき失態を犯してしまったのである。
みつだんご、凄い美味しいらしい。みつだんご……。
しかし当時のMildはそんな後悔など知るよしもない。あっさり通過してしまい……。

根性ー!!

バレーボール部チームの車長、磯辺典子のパネルが展示されている、精肉店「鳥孝」さんを通過すると……。

「あのお店」が見えてくる。

第16問の出題地点にして、ガルパンファンのなかでもっとも有名であろうお店。
割烹旅館「
肴屋本店」さんである。
「これで新築できるー!!」はガルパン名セリフのひとつであろう。

ここには軒先にテーブルとチェア、ティーセットが置かれている。何故か?

この人が配置されているゆえである。田尻さんことダージリンのパネル。さらに右隣には……。

見慣れないキャラである。
Mildは首を捻った。「こんなキャラクター、いたかな……?」
名前を見てみる。「西絹代」とある。にしきぬよ?
このとき、Mildに電流走る。
この西絹代というキャラクターは名前だけ知っていた。
現在設定上のみ存在するキャラクターで、戦車道の全国大会に出場していた一校である「知波単学園」の隊長である。ガルパン放映時、西住みほがトーナメント表のくじを引くシーンで、一瞬名前が写っているのが確認され、話題を呼んだ。
ところで、知波単学園という名前である。おわかりいただけるだろうか。
知波単。つまりチハタン。
知波単学園は日本帝国陸軍の九七式中戦車「チハ」の愛称にちなんだ学校名であり、そのことから「登場した暁にはアンツィオ高校並に出オチになるのでは……?」と全俺がワクテカした学校である。
設定上のみの存在とはいえ、キャラクターイラストまで存在するということは、今後OVAや劇場版での登場が期待できる。楽しみだ。
思いがけぬ遭遇に喜びつつ、歩きだそうとしたMildは、あることに気がついた。肴屋さんの対面側。

なんかこっちみてる。

近づいてみるとこうなっていた。明らかにお手製な感じ。遊び心を感じるパネルだ。しかし、冷泉のその姿勢はちょっと苦しいのではなかろうか。
兎に角。肴屋さんをあとにし、先へ。

途上、歴女チームの左衛門佐が六文銭と並んで配置されている、薬局権書店「江口又新堂」さんや、一年生チームの宇津木優季が配置された「黒沢米穀店」さん、ごもよこと後藤モヨ子が配置された「スルガヤ薬局」さんなどを通過し、

次の出題地点「山戸呉服店」さんに到着。第17問に挑戦できる。

ここにはOVA化が全ファンに祝福されたアンチョビのパネルが展示されている。
さらにここで、Mildはあるものが販売されていることを発見した。本来大洗まいわい市場で購入予定だったものが、売り切れで、諦めていたものであった。思わぬ出会いであった。
なお、この旅で入手したものについては最後にまとめて紹介したいと思う。
とにかく、山戸呉服店さんであるものを入手したMildは次へと歩き出した。
そのとき。

!!

ファインダーに指がかかっているあたりで俺が抱いた感情をお察しいただきたい。

秋山殿!!

秋山殿ー!!!

ここにも秋山殿ー!!!!
というわけで、秋山優花里のパネルが配置されている「年宝菓子店」さんである。このお店には、のちのちまた訪れることになる。

対面にある「大久保酒店」さんには1年生チームの坂口桂利奈のパネルも。
そのまま進み……。

再び看板を撮り忘れた。第18問の出題地点はなんと「茨城県信用組合」さんである。

ここには生徒会チームの小山柚子のパネルがある。
こちらの方面の出題地点は、この茨木県信用組合さんで最後である。あとは、大洗駅に戻る形で途上にある二箇所を巡ればいい。
このとき、すでに1330時は超えていただろうか。

このあたりのお店は黒森峰推しであるようだ。西住まほの写真も撮ったが、ピンぼけが酷かったので掲載を断念。

このようなキャラクターのパネルも展示されている。奥が深い。

こちらは地酒を買って帰ろうか散々悩んだ、「
月の井酒造店」さん。ガルパンのキャラクターがプリントされたお酒も売っているが、とくに有機米を使用したという地酒が目をひく。

キャラクターパネルは蝶野亜美。お酒は結局断念してしまった。今の段階で荷物になるものは避けたかった。Mildはこの前後でこんな判断ばかりして失敗してしまっている。
実は、ここからさらに北東に進んでいくと、ほかにもキャラクターのパネルが展示されていたり、有名なお店があったりするのだが、この時点でMildは大洗駅へ向かい、残りの2問に挑戦することにした。
というのも、「日本戦車道連盟模擬試験」の採点を当日中に受けるためには、遅くとも1600時までには大洗駅のインフォメーションに戻らなければいけないのである。
であるならば、できるだけ早く、一度大洗駅に戻ったほうがいいはずだ。
そうして踵を返した俺は、肴家本店さん、むらいさん、魚忠さんなどを横切り、若見屋交差点なる場所を右折。直進して……。

第19問の出題地点。「平戸酒店」さんに到達。

グロリアーナ戦バージョンの八九式のパネルが展示されていた。
なお、この通りは戦車パネルの展示が多い。ほかにも発見時のM3リー、ヤークトティーガー、全国大会仕様のⅢ突などが各所に展示されている。
それらを見物しながら道を直進。すると、セブン-イレブンが見えてくる。ホントどこにでもあるな、セブン。
その、セブン-イレブンのある「大洗駅入口」交差点を、今度は左折。
少し歩いたところにあるのが、

最後。第20問の出題地点。「筑波銀行大洗支店」さん。
それにしても、信用組合や銀行まで巻き込むとかどういうことなのだろう……と思いつつ視線を巡らせると、

ここにもばっちり戦車パネル。最新鋭のMBT、10式戦車である。
これで、すべての出題箇所を巡り終えた。この雨のなかをやりきったのだ。
そう思い、溜息をついたMildは、ちょっと手前のセブンイレブンに引き返して、ホットコーヒーを買い、一服。
この時点で、ようやく。身体がかなり冷えていることに気付いた。
しばし身体を休め、再度出発。

大洗駅に戻ってきた。
ちなみに、ここらへんからビニール傘になっているが、雨が強すぎて、小さな折り畳みでは不足気味であると感じたため、セブンで買った。

このとき、1430時ちょっと前。
大洗に到着したのが0900時ちょうど。大洗リゾートアウトレットから出発したのが1010時あたりだから、4、5時間は大洗の町を散策したことになる。
インフォメーションに入り、チェックシートを提出。
すっかり書き忘れていたが、問題は4択のマークシート式だ。
問題がわからなかった場合に備えて、四面体ダイスを持参していたが、そういえば使っていなかった。わからない問題は勘で答えてしまった。もったいない。
そう思いながらインフォメーションの方の作業を見守っていると……。
「お疲れ様でした」
そう言いながら、笑顔で一枚の用紙を渡してくれる。

撃破率108%。
そういえば全問正解で120%なのだった。つまり、1問で6%だ。
全20問中18問正解。自分でも驚きの正解率である。
なお、自分の認定証は第592号。592人目ということで、もう600人弱が挑戦しているというのも驚きだ。
インフォメーションの方から「難しい問題はありましたか?」とお訪ねいただいたので、率直に、これは難しい。と感じた4つの問題について述べると、やはりそのうちの2問で不正解をしていた。
「とくに第○○問は、初見だと厳しかったです」とMildが言うと、インフォメーションの方が、
「あれはね、表に配布してるるるぶに答が書いてあるんですよ」と仰られ、思わず、
「マジで!?」と素で返してしまったのは反省している。
インフォメーションの表には無料の小冊子「るるぶ大洗」が配布されていて、確かに書いてあった。ばっちり書いてあった。恐るべきは大洗町である。
なお念のため申し添えておくと、問題の内容は一定の期間で変更されるそうなので、万一挑戦される方がいた場合、駅や商店などで配布されている、大洗に関する冊子などは出来る限り目を通したほうがいいだろう。
そんな一幕を挟みつつ、Mildの「日本戦車道連盟模擬試験」は終わった。
駅のなかにあるベンチに腰を落ち着け、しばしのあいだ、沸き起こる達成感を味わうMildであった。
で、この大洗の旅なのだが、実はもうちょっとだけ
続くんじゃ。
#
by mildstylek
| 2013-06-29 12:50
| 雑記
この大洗の記事も3回目である。
第1回では大洗に辿り着くまでの模様を、
第2回ではMildが大洗の町へと走りだす模様をお伝えした。
これまでの時点で、Mildが挑戦している「日本戦車道連盟模擬試験」は第1、2問と、第6~10問までの、計7問をクリアしている。
その第7問の出題地点であるココストア大洗大貫店さんを出たMildは、強まる雨足に焦りを覚えながら、次の出題地点へと向かった。
まず、ココストアさん目の前の横断歩道を渡り、右へ。第6問の出題地点である、ENEOS大洗本店SSさん方面へ、反対車線を引き返す形を取る。

横断歩道を渡った先にはあんこうチーム、マークⅣスペシャル仕様のパネルが。
パネルを掲示されているのは「あいりす」さんというお店で、閉まっていたが、化粧品やエステサロンのお店であるようだ。エステサロンに戦車。
あいりすさんを横目に道を南進。ちょっと脇に入ったところにある……。

お寿司の
栗崎屋さん。
ここが第3問の出題地点だ。

ティーガー!

「大洗女子学園学生食堂」と銘打ち、特別メニューを展開されているようだ。
この時点でMildはかなり結構お腹が空いていたので、ここで食事してもいいかも……。とも思ったのだが、問題はまだまだ残っている。一巡りしてからでも遅くはないだろうと考えて、その場をあとにし、道を逆進。その先に出題地点はないが、一箇所立ち寄っておかなければならない場所があるのだった。

そう、エルヴィンならね。
和泉屋米穀店さんというお米屋さんにエルヴィンのパネルが配置されている。
実はこのお米屋さんは、事前に情報を集めていた際、ある出来事を目にして、是非立ち寄らなければならないと思っていたのである。それはおいおい触れていく。

お手製と思われるパネル。「干し芋単品」は売り切れていた。残念。

実はエルヴィンよりも撮りまくってしまったのだが、店内には子猫が沢山いる。
産まれてまだそこまで経っていない様子。元気に走り回っている。
店内には女性の方が見える。扉を開けて子猫が出てきたらどうしよう……と思っていたら、軒先に出てきてくださり、お話をすることができた。とても気さくな方だった。
話題はやはり雨から始まる。この「雨が降って~」という話題の始まり方のおかげで、スムーズに町の方々と話をすることができたように思える。
いくつかお話をさせていただき、その場を離れようとすると、お店の方はある場所を指さし、「あちらもお願いしますね」という。はて……? と視線を巡らせると……。

恐らく、和泉屋さんの倉庫であろうか。その軒先に、このようなパネルが置いてある。メッセージが沢山書き込まれていて……。

なんと2枚目に突入していた。ここを訪れたファンの方々の言葉が連なっている。Mildも書いてきた。2枚目の車体後方右上のあたり。これがいつか戦車の形を成す日がくるのだろうか。しばしメッセージを眺め、和泉屋さんの前を横切る。お店の方の笑顔に後押しされ、先へ。
次は、ENEOS大洗本店SSさんの対角線上にある、郵便局の隣。
今村金網工業さんで第5問に挑戦。M3リーのパネルが貼られていた。
ここらへんで、同じように町を巡っている人々をすれ違う。お互いに苦笑しながら。雨はじゃんじゃか降っている。
その後、またまたENEOS大洗本店SSさんのある交差点へ。今度は商店街を北東に進むルートに戻る。
みむら時計店さん。お店の軒先には「日本戦車道連盟模擬試験」の認定証が貼ってあり、全問正解だった。ご亭主は只者ではない。
なお、こちらのお店では7月下旬ごろにガルパン仕様の眼鏡拭きなるものを発売するようである。
忘れていた。ここでは第4問に挑戦。

商店街を直進すると、すぐに次の出題地点、お好み焼き「道」さんに到着。第12問の出題地点だ。

ここには1年生チームの大野あやのパネルがあり……。

猛烈にプッシュしている。大野あやの中の人も訪れたことがあると書いてある。
焼きそばに心惹かれつつも先へ。

そしてまさかのまた食べ物屋さん。
第13問の出題地点、柳屋食堂さんである。
お昼時であるので、お店にはお客さんが多いが、ここでMildはある決断をする。
一度アウトレットに戻ろうと決めたのだ。
雨は既に、自転車に乗って移動できる限界を超えている。
このとき、1150時あたり。レンタルの終了時間までまだ1時間あるが、それどころではなかった。実を言うと、靴や裾口などの足回りが結構悲惨なことになっている。
柳屋食堂さんで折り畳み傘を取り出したMildは自転車を押しながら移動を開始。この位置からならアウトレットは近い。10分ほどで、アウトレットに戻ることができた。
ダイビングパイレーツさんにサイクルを返却。ありがとう秋山殿。
持参したタオルである程度水気を取り、一段落したMildは、そのままアウトレット内にある、
大洗まいわい市場さんへ向かう。この時点でヘトヘトだったMildは、アウトレット内を見て回ったのに写真を概ね撮り忘れるという失敗を再び犯している。どう見ても人力車が乗り入れるには無理がある広場や、2階の通路。さらには3月11日についての展示がなされているフロアなどがあり、アウトレットは見所に溢れている。お伝えできないのは残念だ。
気を取り直し、まいわい市場さんであるが、ここでは第11問が出題されている。
本来なら、午前中にほかの出題地点をすべて回り、最後にここにやってくる予定だったのだが、先に行こうと思い直したわけである。

ここにはちょっとした休憩スペースがあり、「あんこうやき」なるものを食べることができる。

1個120円。小倉あん、芋あん、豆乳クリームの3種類がある。ドリンクとセットで250円で、Mildは芋あんとホットコーヒーを所望した。

休憩スペースのカウンターにはサインや焼き印が。

表裏がこのようになっている。なるほど、「餡香焼」である。とても美味しかった。その場で豆乳クリームを買ってまた食べた。美味しい。コーヒーにもよく合う。
なお、このあんこうやきは、週末などには買い求めるガルパンファンで列ができることもあるのだそうだ。
自分が訪れた際は、他に数人の方がいたのみで、そういう意味では日程のチョイスは成功だったのではないか、とも思える。
なお、まいわい市場さんはお土産が沢山売られている。地の野菜や、地酒、海産物など豊富に取り扱っている。ガルパングッズも売っている。
店内を拝見し、同じようにあんこうやきを食べていたガルパンファンの方々とお話をさせていただく。何度目かの来訪だという方もいた。
彼らと別れ、まいわい市場をあとにする。ちなみに、ここには生徒会長のパネルが展示されている。
この時点で1230時あたりである。完全に一息ついてしまったMildは、アウトレットの隣に立っている建物に目を向けた。
折角だから、登るか、と思い……。

大洗マリンタワーの展望室へ。入場料は300円ちょっと。
このアングルで写真を撮れたのは嬉しい。

港湾部の写真や、

町の中心部の写真なども撮ったが、やはり視界が悪いのは残念だ。

嬉しい誤算。展望室にあんこうチームのパネルが勢揃いしていた。
雨のなかに佇む大洗町をしばし眺めたMildは、マリンタワーをあとにする。
現時点で12問に挑戦できている。あと8問は、徒歩で町を回って解答しなければならない。
このとき、1300時に差し掛かろうかというあたりであった。
商店街に戻ろうと歩いていたMildは、ここである標識を目にし、思わず立ち止まり、シャッターを押した。

こちらと同様の標識は、町の至る所に設置されている。

少ないアウトレットの写真だが、こんなものを撮影している。
何人かの町の方からも、あの日のお話は聞くことができた。アウトレット2階の展示スペースでは、当時の状況を鮮明に記録している。
被災地としての大洗。さらに言えば、関東・東北太平洋沿岸における当時の状況、そして現在の状況というものを、被災地に暮らす人間ではない自分だからこそ、決して忘れてはならないと感じる。
今こうしてMildがのほほんとガルパン目当てで大洗に訪れることができるのも、地元の方々の絶大な努力があってこそだ。
先ほど訪れた和泉屋さんなどは、津波で倉庫1階部分が破壊された状況で、残っていた備蓄米を集め、被災者の方々のためにお米の炊き出しを行ったそうなのだ。もちろん、独力では難しい。地元の他業者と連携してのことであったようだ。拝見した記事によると、この出来事は、震災発生から半日後のことである。
それらの出来事を知った上で大洗を訪れていたMildではあったが、町の方々の笑顔には、そのような出来事があったことなど、微塵も感じさせない活力と温かさがあった。
2年前のことではある。だが、たった2年でもある。
あの時のことを思い出し、この町を見て、身が引き締まる思いがした。
しかし、この記事はまだ終わっていない。
次回へ続く。
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by mildstylek
| 2013-06-29 00:58
| 雑記